オックスフォード大学の名誉教授で、”放射能と理性” という本を出したウェード・アリソン博士が講演で述べられたそうですが、”今福島で起こっている問題は被爆自体ではなくて、被爆への恐怖である。” だそうです。(その通りのような気がします...) ”放射線は人体に有害である” という認識、常識は80年ほど前の遺伝学者のハーマン・マラー博士のショウジョウバエの実験の結果に由来しているそうです。
その実験ではショウジョウバエのオスに ”X”線を照射すると二世代、三世代先にグロテスクな形態のショウジョウバエが出たそうです。でもそれはまだDNAのことがよく分かっていなかった時代のお話。大量の放射線は確かにDNAを傷つけるそうですが、放射線以外にもDNAを傷つけるものはたくさんあるそうです。しかも放射線を浴びるとDNAが傷ついて、それが次世代やその次に異常が現れることはよっぽどの量でないとほとんどないそうです。
生物には修復酵素というものが存在して、それが常にDNAの傷を修復しているからだそうです。チェルノブイリのひどい被害者ほどの被爆量だとその修復も追いつかないのかもしれません。つまりは程度問題。ちなみにショウジョウバエはその修復酵素を持たない稀な生物だそうです。
短時間に一気に大量の放射線を浴びるとさまざまな異変を発症して死にいたるのは事実だそうですが、あくまでもそれは程度問題であって少ない量を長時間浴びるのは無害どころか健康にいいことが分かってきているそうです。
例えば鳥取県の三朝温泉はラジウム温泉として有名だそうですが、ラジウムは放射性物質。1992年の調査で、三朝町の年間放射線量は10ミリシーベルト(1万マイクロシーベルト)だったそうですが、町の癌による死亡率は全国平均を1とすると0,49だったそうです。つまり半分以下。
あるいは台北の、1万人もの人が居住する大規模マンション。1982年に建てられたそうですが、2002年になってマンションの建築資材が放射性コバルトに汚染されていることが分かったそうなのですが、調べによるとマンション内の放射線量は年間50ミリシーベルト(5万マイクロシーベルト)だったそうです。そこで住民の健康調査が行われたそうですが、その意外な結果は、台湾の年間癌死亡率が10万人に対して166人であるのに対して、そのマンションの住人は同じ比率でいうと僅か3,5人だったそうです。
さらには東京世田谷の住宅地で600マイクロシーベルトの放射線量が観測されて大騒ぎになったらしいのですが、なぜそうなったのかは分からないものの、ある民家の床下に昔埋められたラジウムが原因だったそうです。その民家には何も知らずに50年来住んでいる老人がいるそうで、年間被爆推定線量は90~180ミリシーベルト(9万~18万マイクロシーベルト)だそうですが、今も92歳で健在だそうです。大量線量の一気の被爆は有害なものの、低線量の長時間の被爆は実は健康にいいというのが今では科学の世界の常識になっているそうです。
ミズーリ大学の名誉教授で、ホルミシス効果という研究で知られたトーマス・ラッキーという生化学者がいるそうです。劇薬は人体に有害である。でもある種の劇薬を少量投与すると健康に効果がある、というのがホルミシス効果だそうです。そして放射線にもホルミシス効果があることを突き止めたそうです。低線量の放射線は修復酵素の活性化を促して健康をもたらすそうです。ではどのくらいの線量がいいのか?月間100ミリシーベルト(10万マイクロシーベルト)、年間千二百ミリシーベルト(百二十万マイクロシーベルト)までの被爆が安全で健康にいいそうです。
つまり現在福島で強制的に非難させられて苦しい生活を強いられている周辺、年間5ミリシーベルト(5千マイクロシーベルト)の土壌を削って取り除くとかは意味のないお話で、福島原発20km圏内の毎時1マイクロシーベルト以下、激しい時の10マイクロシーベルトのような低線量はむしろ健康にいいレベルだそうです。ではなぜそういうこと(常識=迷信)が起きるか?脱原発や自然エネルギーを唱えている人達の勢力のせいだそうです。魚の汚染や野菜の汚染がどこどこで出たと騒ぎ立てて被爆の恐怖をあおりたてているだけだそうです。
以上は月刊誌 ”致知” の1月号、渡辺昇一上智大学名誉教授の ”歴史の教訓から” によるものです。ちなみに渡辺名誉教授は原子力賛成派です。理由はその貢献度の高さ、そしてもしやめると今後日本がその技術から取り残されてしまうからだそうです。放射能もやはり程度問題。過ぎたるは及ばざるが如し...