左の写真は、水っ気のあるところに数日放っておいた玄米です。玄米は、田んぼから取れたお米から、もみがらだけを取り除いたものです。その玄米からぬか、胚芽を取り除いて胚乳のみにした白米とは違い、生きているので水気があれば発芽します。
つまり新鮮そのもの。これ以上新鮮なものはありません。取りたての魚を刺身で食べるようなもの。人間が口にするものは、新鮮であればあるほど身体に良いのは言うまでもありません。
では白米はどうでしょうか? 白米は、回りを削り取ってしまっているので既にお亡くなりになっていてこうはなりません。ずっと米粒のままです。変化があるとすれば、せいぜいカビが生えるくらいです。
人間が口にするものは普通、古くなればなるほど身体にとっては毒になってきます。食べ物がそうならないように、長く持つようにと不健康な保存料が使われます。
普段食べている白米は、玄米を精米(回りの外皮を取り除いてゆく)したものですが、玄米を白米にするために取り除いた部分に、ビタミンやミネラル、食物繊維などのほとんどが含まれています。玄米を白米にする、精米工程の程度で、
玄米>三分つき米>五分つき米>七分つき米>胚芽米>白米
となります。精米が進むにつれて、ビタミンやミネラル、食物繊維などの身体に良い成分が取り除かれてしまうのです。その違いは食物繊維で3倍弱、鉄分約2倍、マグネシウムで5倍強です(詳しくは下記の表をご覧下さい)。
玄米と並んで健康に良い食べ物であるキャベツにも多く含まれる食物繊維は、体内の余分なコレステロールや糖分などの有害物質を排出してくれて、便秘や下痢を治してくれるだけでなく、お腹の調子を整えてくれて、整腸効果で免疫力を上げてくれます。
この2つの大きな長所が、医師、食養家、マクロビオティクスなどの多くの健康志向の人たちが玄米を勧める理由なのです。
白米よりも調理と消化に時間がかかるので、炊く前に長く水につけておいたり、よく噛んで食べる必要がありますが、生活習慣病の予防になり、ダイエットにも効果的です。よく噛むことによって、不要な食欲は減りますし、美味しい味が出てきます。
明治、大正時代に脚気と結核は2大国民病と言われたそうです。そのうち脚気は、ビタミンB1不足によって起こりますが、それが玄米に(キャベツにも) 多く含まれています。日清・日露戦争中に脚気で亡くなった兵隊さんの数は、何と敵の銃弾や爆弾で亡くなった兵隊さんの数よりもはるかに多かったそうです。
日露戦争では25万人もの脚気患者が出て戦傷病死者4万余人の内、病死者が3万人を占め、病死者の約75%は脚気によるものだったとされています。当時の兵隊さんに支給される食料は、白米が1日900g だったそうですが、もしそれが玄米だったらその3万人の兵隊さんたちを死なせずに済んだということになります。
100g あたり(約) | 白米 | 玄米 | ||
食物繊維 | 1.3g | 3.5g | ||
ビタミンB1 | 0.07mg | 0.4mg | ||
ビタミンB2 | 0.05mg | 0.1mg | ||
ビタミンB3 | 1.6mg | 5.1mg | ||
ビタミンB5 | 1.0mg | 1.5mg | ||
ビタミンB6 | 0.16mg | 0.51mg | ||
ビタミンE | 0.1mg | 1.2mg | ||
ビタミンK |
0.1μg |
1.9μg | ||
鉄分 | 0.8mg | 1.47mg | ||
マグネシウム | 25mg | 143mg | ||
マンガン | 1.1mg | 3.7mg | ||
セレン | 15.1μg | 23.4μg | ||
リン | 115mg | 333mg | ||
カリウム | 115mg | 223mg |
玄米に関するブログで思ったより多くの反響がありました。東は北海道、西はデュッセルドルフまで(笑)。
身近なところでは愚妻… いえ、かみさん(神様)からも… 「玄米は発芽玄米じゃないと意味がないそうよ…」
発芽玄米じゃないと意味がない?そんな馬鹿な。タケノコでも、タラの芽でもなんでも、出たばかりの芽は柔らかくて美味しいというのは事実なのでそのことでは?...
世の中、情報があふれかえっているので、自分自身でも理論武装して、良い情報と悪い情報を選り分けないとダメだよ!と、偉そうに言ってしまいました。
種っていうのは、発芽に必要な栄養を内に秘めていて、その栄養を使って芽を出しますから、発芽しちゃったらその栄養の宝庫は使い果たされてしまっているはず。
つまり、柔らかくなって食べやすくなるだけじゃないの?と言いました。でも絶対の自信はないので早速調べてみました。今回は文献・書籍に頼る時間をおくまでもなく、インターネットで調べました。
その結果、ポイントとなるのは発芽の程度次第のようです。
発芽が完了してしまうと、確かに想像通りで、種が内に秘めた栄養の宝庫は使い果たされてしまい、さらには噛み応えや味は落ちてしまうそうです。
ところが、発芽の状態がまだわずか1mmかそれ以下程度だと、発芽の際に、眠っていた酵素が活性化し、必要な栄養を玄米の内部に増やしてゆくそうです。
さらには硬い糠もやわらかくなるため、白米と同様に手軽に炊飯できるそうです。発芽で栄養が増えてしかも柔らかくなって美味しく、なにやら良いことだらけのようです。
発芽には1,2日かかるので、玄米を炊いた後にすぐ翌日の分をお水に浸しておけば良いのではないでしょうか?
発芽によってお水が汚くなっていないかどうかのチェックと必要とあればお水の取替えは必要そうです。
でも反玄米という意見もありました。精米で取れる部分に農薬が多く残ってしまって危険だというのです。
でも実際にテストをしてみると、白米食の人からの方が、より多くの農薬が検出されたという有名な医師の情報もありました。いずれにしても野菜が含む農薬の方が桁違いに多いそうです。
タカパンで売っているみのり米の玄米は、スペインの国立公園の近くで作られているので、農薬の使用が大幅に制限されているそうです。
元々昔はひえやあわ、雑穀や玄米が食べられていたそうです。それが(人によって意見が異なり) 江戸~明治の間に白米に代わったようです。
炊くのに必要な薪の量、つまり経済性が大きく関係しているようですが、玄米は上手に炊いて、しかも良く咀嚼しないと美味しくないと思うかもしれません。
粕(カス) と書いて白米だという人もいます。つまり栄養も味も取り除いてしまったお米のカスだというわけです。
右上の写真、約40時間(晩に水を入れて、翌々日の夕方の状態) わずかに発芽が始まっているのが見えるでしょうか?
鳥のくちばしのような部分が芽です。水道水を入れただけです。発芽で代謝が激しいので水がにごりますから、2,3度取り替えます。
ここまでやって、しかも炊いた後に少し蒸らすと、柔らかさはもう白米、もち米と変わりません。