ストレスとは一体なんでしょうか?
元々は物理学で、物体表面に加えられる圧力を示す用語だったそうです。物質を長く使っているとストレスで磨耗するなどして壊れますが、それがストレス。身近な例では、ビールや清涼飲料水のアルミの空き缶を暫くの間ずっとグシャグシャとつぶしたり引っ張ったりしていると、穴がたくさん開いてきてバラバラに崩れてきます。
ストレスという言葉を人間に当てはめて使い始めたのは、1930年代のアメリカの生理学者ウォルター・キャノン(1871-1945)や、カナダの医学者ハンス・セリエ(1907-1982)だそうですが、外界からの刺激に対する生体の反応という定義だそうです。
ストレス研究の第一人者であるセリエは、ラットで色々な実験をしたそうですが、様々な物質を注入したり、低温・高温環境に置いたり、身体を縛って精神的な恐怖を与えてみたそうです。どの種類のストレスを与えた時でも、胃腸が荒れたり、副腎が大きくなったりするなどの共通の症状が現れたそうです。これは、物質的なストレスも、心理的なストレスも、身体が反応する仕組みは同じだという興味深い事実を示しました。
ストレスを感じた時の身体の反応は、自律神経を介すると、瞳孔を大きくする、唾液分泌を抑制する、心拍数を上げる、胃の運動を抑制する、アドレナリン分泌を促進するなどがあります。また、内分泌を介すると、ACTH(副腎皮質ホルモン)を放出、コルチゾールを放出、それが血液に乗ってかく肝臓や期間に運ばれるというものがあります。
それは、白血球やリンパ球の性質を変化させて免疫力を低下させる、糖(グルコース)の合成を促し、血糖値を上昇させる、筋肉への糖の取り込みが抑制され、血糖値を上昇させるそうです。つまり、ストレスを受けると病気にかかりやすくなるというわけです。
人間の身体には、体内の環境を一定に保ち、生存を維持しようとする性質が備わっています。その性質をホメオスタシス(恒常性)・ホメオパシーと言うそうです。何か突発な事故などで、早急に身体を動かして危険を回避しなければならないような時には、筋肉が動かすエネルギー(糖)を作ってそれを血管ですばやく全身に送り届ける必要があります。
その反面、取り合えず必要のない免疫や消化、生殖などの機能はその働きが一時的に抑制されますが、それがストレス反応が起きる理由だそうです。ストレスが非常に強いものだったり、ストレスの原因が取り除かれずに長期間に及んだ場合、コルチゾールや血糖値の上昇が続き、本来身体を守るべきストレス反応は逆効果となって悪影響を及ぼし始めるそうで、胃が荒れるのはその一例だそうです。
そのストレスも勿論十人十色で各人で違います。人前で歌うカラオケが、ストレス解消となる人もいれば、逆にストレスとなる人もいます。それは遺伝も関係するでしょうが、ストレスに弱い臓器が種類も人によって違うようです。アトピー性皮膚炎になる人もいれば、潰瘍性大腸炎が悪化する人もいます。そこで遺伝的な影響があることは間違いないそうです。
26.12.12